児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

メランコリー・サガ(モールランド・ストーリー1)

 

主人公は小学校6年生の女の子コトノハ。でも、小学校高学年でこれを読むのは本好きな子だろうと思うのだが、どうだろう? ショッピングモールにある高層マンションに住むコトノハが通う小学校は1クラス。クラスでは浮いていて、同じく浮いている男子の700とパルと、なんとなく一緒にいることが多い。友だちというほど熱い友情はないけれど自然体で一緒にいられる仲間だ。パパが、昔ゲーム制作で当てたお金で高層マンションを買ったので住んではいるが、特にお嬢さまではないコトノハ。でも、パパの趣味でガーリーブランドの服を着ることがあるから、ちょっと誤解されている感じ。子どもの本を書いている母も、ゲームを作っている父も、コトノハを尊重してくれていて、あまり親っぽくない。パルは中古フィギア店をしている離婚した父と二人暮らしで、近所のオタク街すまい。パルも近くの団地で家族で住んでいる。突然パル父がくれた「メランコリー・サガ」という古いゲーム。そこにはとんでもないパル父の誤解があるのだが、それを軸にしつつも、コトノハの日常と日常の中の思いが描かれている。ひこ・田中の描く親子関係は、なかなか理想的と思いつつ、最近の親子関係ってどんな感じ?などと思いながら、ともかく読まされてしまう。続いていくので、今後の展開を見ていきたい。