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リックとあいまいな境界線

 

『ジョージと秘密のメリッサ』続編。リックは内向的な男の子だ。小学校の時から仲がいいジェフと、中学に入ってからもつるんでいる。だが、ジェフの乱暴で差別的な言動はいやでたまらない。そして、自分が他の人と違うような不安を感じ始めている。まわりや父さんは女の子のことをいうけど、女の子が気になるという気持ちが理解できないのだ。小学校の時いっしょだったジョージは、中学に入ったと同時にメリッサとして女の子になっていた。LGBT+について話し合うレインボークラブに思い切って行ってみるが、自分でも自分のことがわからない。ジェフにバレてからかわれるのも嫌だ。父さんはリックがオクテなだけだという。そんな中、中学になっていやいや始めたおじいちゃんの家の訪問で、思いがけずおじいちゃんと気が合うのを発見。大切な悩みの相談相手になる。自分にとって大切なことが何かを気が付き、ジェフから離れて歩き出すリック。でも敵役というべきジェフ君。なせこういう子になってしまったのだろう。ジェフの母親はジェフの態度を間違っていると思っているが、影だけみえる父の問題がありそう。ジェフ君のことも、もう一歩踏み込んでほしかったようにも思う。