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シーラスの家作り(シーラスシリーズ4)

 

シーラスの家作り (児童図書館・文学の部屋―シーラスシリーズ 4)

シーラスの家作り (児童図書館・文学の部屋―シーラスシリーズ 4)

 

 シーラスは、はしけで袋に入れられていた赤ん坊を拾った。そのままにはしておけぬと商人の家につれて帰るが、けがらわしい私生児として激しく拒絶される。もう一度捨てるか孤児院に入れろといわれたシーラスは、自分で育てると宣言する。とはいえ、実際の世話の仕方がわからない。シーラスはおばあさんを養老院から調達してくる。見捨てられ、仕事をし、仕事ができなくなれば死ぬしかない養老院の中で、一番機敏なクリストフィーネを連れ出す。だが、わずかな留守中に赤ん坊は行方不明になっていた。シーラスは一家の末っ子ヨリムを連れ出しビンの家に預け、かわりに赤ん坊を取り返そうとする。だが、商人は、別な赤ん坊でごまかそうとした。赤ん坊の情報を求めて歩く中、シーラスは見捨てられた山の村と、そこで死にかけていた老人セバスチャンを発見。その村に心ひかれたシーラスは、ふもとの村で、ついに赤ん坊を取り返すと同時に、その村での居住を認めてもらう許可を得る。ヨリムはビンの家での生活を満喫。ヨリムを帰したシーラスは、別の赤ん坊を押し付けてきた不当の埋め合わせとして川船や食料や布などを持ち出し、商人の家を後にする。赤ん坊を救おうとするシーラスはいいけど、やり方はムチャ。しかも、孤児院ではなく村に預けるなら、シーラスだって納得したはずだから商人も、ちゃんとそう言えば良かったのよと思う。都合よく住処と生活のベースを手に入れる結末は、メルヘン。おもしろいけど強引? ただ、若者にとっての夢であることは確かかも。ラストシーンで、思いがけずついてきたメリッサとの関係が、今後気になるところ。