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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

心は高原に

 

心は高原に (ショート・ストーリーズ)

心は高原に (ショート・ストーリーズ)

 

 サローヤンの作品は、児童書というよりも大人の本の感じがする。「心は高原に」は、ふらりとやってきた音楽家にごちそうするため、詩人だというお金のないお父さんのかわりにツケで買い物にいく男の子の物語。「キングズバリーのいかだ」は貧しい家から出ていった兄さんと、兄さんと作ったいかだの物語。「心は・・」の次々に質問が飛び出す男の子の雰囲気はなかなか良いが、でも現実を思えばお父さん、子どもを使わず、自分で店に行けよ~と思います。「キングズバリー・・」で、最後が自分が父親と同じようになっていく姿は、抒情があるといえばあるけれど、おい父親しっかりせい! とやはり思う。子どもが守られているのが児童書、淡いあきらめは大人の情緒かな。