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図書館にいたユニコーン

 

図書館にいたユニコーン (児童書)

図書館にいたユニコーン (児童書)

 

トマスは、外で遊ぶのは大好きだけど、学校でじっとしているのが苦手で勉強もきらいだ。だがある雨の日、外で遊べないでしょうという母親に無理やり図書館に連れて行かさせる。新しい司書さんはとてもおはなしがじょうずだ、というのだ。すぐに逃げ出すつもりだったのに、図書館にはユニコーンがいた! よく見ると木彫りだとわかったが、とても美しい。そして司書のおねえさんがやさしく語り始めたユニコーンのおはなしに心を奪われる。司書のおねえさん(みんなはユニコーン先生と呼んだ)が、おはなしをしてくれたり、絵本を読んでくれるのをトマスだけでなく子どもたちみんなが大好きになった。ある日、ユニコーン先生は一冊の本を見せてくれた。戦争で本が燃やされたとき、お父さんが、燃える山の中から必死で救い出したアンデルセンの本だった。そして戦争がはじまってしまった。こんな小さな町まで戦争は来ないと思ったのに、町に爆弾が落とされ、図書館も被害にあったのだ。トマスが図書館に駆けつけるとお父さんと先生が、燃える図書館から懸命に本を救い出していた。町中の人が本を救おうと協力し、さいごにあのユニコーンも救い出した。戦争が終わり、図書館はもう一度作られた。先生は今も図書館でみんなにおはなしを語っていて、トマスは作家になったというラストはとても印象的。だが、あまりにきれいにまとまりすぎていて、これでいいのか?物語の力は素晴らしいけど、野山の自然だってスゴイぞとか、火の中から本を救うのはいいけど命を亡くしたらもともこもないぞ、そのラインをどうするとかも考えてしまいます。