児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

おねえちゃんは天使

 

おねえちゃんは天使

おねえちゃんは天使

 

ぼくのお姉ちゃんは、ママのお腹の中にいる時に死んじゃった。でも、ぼくにはお姉ちゃんが見える。髪は長くて金色で目は灰色。やさしくて楽しくて、ちょっと大胆。ぼくがけがをして泣いているとなでてくれたり、ぼくを使ってお兄ちゃんに足をかけて転ばせたりする。ぼくはお姉ちゃんに、ぼくを通して何でも見たり聞いたり味わったりさせてあげようと思って、ママに金髪のかつらを買ってもらった。ママのワンピースとハイヒール、そしてかつらをかぶって鏡に向かうとそこには、ほほえむお姉ちゃん。ぼくはそのまま外へ出て、おねえちゃんにいろんなものを見せた。最高においしいチョコキャラメルとオレンジサイダーも味わわせてあげた。映画館で切符の笛をピーピー鳴らして遊んだり、ぼくの友だちに会わせたりもした。そしたら次の日、ぼくが女の子のかっこうで歩き回ったことが近所のうわさになって、そしてお姉ちゃんもぼくの中からいなくなってしまったんだ。
これもウルフ・スタルク自身の子ども時代をもとにした作品。子どもの言動には、大人にはわからなかったり顔をしかめたりするようなことでもちゃんと理由があって、納得して前に進むことが大事なのだなあと思います。ママがすんなりとかつらを買ってあげたり、パパがぼくの行動をしつこく問いただしたりしない態度が素敵です。 (は)