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表現する仕事がしたい!

 

表現する仕事がしたい! (岩波ジュニア新書)

表現する仕事がしたい! (岩波ジュニア新書)

 

 漫画家、音楽家、映画監督、CMプランナーなど表現の世界で活躍する13人が、どんな子ども時代だったか、その仕事についたきっかけ、仕事への思い、これまで悩み苦しんだことなどを中高生に向けて語る。
いま中高生にはアニメやゲーム業界が人気です。声優や漫画家になりたいという子も多く、それを職業にすることの厳しさを伝えようと思い、本書を中学生に紹介したことがありました。でも改めて読み直してみると、思春期の子どもたちを励まし勇気づけてくれるような言葉も多くあります。孤独は恐れなくていい、寄り道や迷いもすべて経験として生きる世界だということ。幼少期からずっと大人の無理解と対峙し続けてきたという写真家もいます。もちろん表現者として生活を成り立たせるのは大変なこと。自分のやりたいことと人から求められることとの妥協が必要、評価が単純な勝ち負けではないので成果がわかりにくいこと。それでも続ける原動力が13人それぞれにあります。何よりもその世界で成功する条件が経済的、家柄的、容姿的などなどに恵まれている必要はないということも、いま中高生に紹介するならぜひ伝えたいと思う部分です。 (ふ)