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バンビ――森の、ある一生の物語

 

バンビ――森の、ある一生の物語 (岩波少年文庫)

バンビ――森の、ある一生の物語 (岩波少年文庫)

 

 森の茂みの小さな隠れ家で生まれた子鹿のバンビ。見るものすべてが初めての新鮮な驚きと母鹿の愛情に包まれた日々。鉄砲を持った人間の恐ろしさを知った日。古老鹿との出会いから歩み始めたひとり立ちへの準備。思春期の心の衝動と幼なじみの雌鹿とのきらきらした恋の喜び。折節に古老からの言葉に導かれ、バンビは自分で習い、乗り越え、生きるということを学んでいく。自分であることの素晴らしさ、そのためにはひとりでいること、生きるときも死ぬときも。古老から受け継いだ信念が、今度は自分が若い幼い者たちを導いていくのだという決意になったとき、古老の命はバンビに引き継がれたのです。「ある一生」とは1つの命のことではない、深い感動を味わいます。 (P)