スラブ民話「十二月(つき)」をふくらませた戯曲で、別物として楽しめる。まま母、娘、まま娘、十二の月の精たちのほかに森の動物たち、わがままな女王と宮殿の面々と登場人物が賑やか。冬の森で春の花や夏の果実を探してくるようにという女王のおふれによって、まま娘は雪深い森へ行く。四月の精がくれる指輪と持ち主を救う唱え言葉や、終盤にまま母と娘が犬の皮のシューバ(コート)を着て犬になってしまう一方、まま娘は新しい衣装をもらうなど、要所要所に昔話らしいモチーフ。まま娘や女王一同が十二の月たちの歌に送られて森を出ていくというラストは少々あっけない。 (は)