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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

境界のポラリス

 

ケイコは中国生まれ、5歳でDVの父から逃げた母と共に日本に来た。上海にやさしい祖父母がいて、里帰りは楽しみだ。母はケイコが小学校3年の時に、今の日本人の父と再婚。小学校の時から「中国人」としていじめられていたケイコは、それを隠したくて地元を離れた都内の私立高校に進学した。新しい友達はできたが、もし中国人とばれたらと不安でたまらない。そんな時、偶然地元で自主夜間中学があり、そこでは日本語を学ぶために外国の子たちが通っていることを知る。自分の過去を見るような思いで、ボランティアとして手伝うことになったケイコは、さまざまな悩みを抱えたそこに通う子たちと仲良くなっていった。一方、なんの悩みもないと思っていたクラスメートにも悩みがあることにも気が付く。ついに中国人だとわかってしまった時の不安、スピーチコンテストに出る夜間中学の楽花(ルーホア)を手伝いながら、これからの自分を考えるようになっていく。第61回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。素直にまじめに書いてはあるが、なんとなく想定内の展開、とも思ってしまった。