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春のウサギ

 

アミーリアは憂鬱。7年生の春休み、いつものように大学教授のお父さんは、どこにもでかけようとは言ってくれない。お母さんは2歳の時癌で死んでしまったから、お母さんの記憶はない。隣の家のオブライエンさんが、お母さん代わりに面倒を見に来てくれている。いつでもやさしいオブライエンさんは、ろくに顔をあわせないお父さんよりすっと頼りになる。アミーリアの楽しみは近所の陶芸教室。ところが、突然そこの先生の甥っ子ケイシーが遊びに来て、アミーリアのお気に入りの場所に座っていた! 最初は反感を感じたが、両親が離婚に向けて話し合いをしていることに怒りまくる同じ年のケイシーと仲良くなる。二人で、街中で見かけた人の物語を作るゲームを始める中で、気になる女の人を見かけた。ケイシーはアミーリアに似ているという。ひょっとしてお母さんは本当は生きていたの? アミーリアの心は揺れる。両親の離婚や親との死別は深刻な問題。誰かに甘えたいアミーリアの素直な気持ちに共感する。