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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

これからの男の子たちへ

 

著者は弁護士。性差別や性暴力を社会からなくすには、男の子の育て方こそ重要と、公私の体験(見聞きしたことも含む)に基づいてわかりやすく論を展開している。

離婚、セクシャルハラスメント、性暴力事件で女性側を担当することが多いことや、私生活では小学生の2人の息子を育てるシングルマザー、かつ自身は3姉妹で育ったことから、家庭や社会での男の子の扱われ方への違和感に感受性が鋭い著者。中高生が読むにはヘビーな内容もあり、全体的に大人向けと感じたが、ところどころ中高生男子向けの語りかけがある。

加害者となってしまった大人の男性や、それを許容したり助長したりしている男性を変えるのは「コスパが悪い」ので、未来ある男の子(息子)を「性差別的な男性にさせないこと」と同時に「性差別や性暴力に怒り、一緒にたたかってくれる男性をもっと増やすこと」が、すべきことだと言っている。
3つの対談がどれもいい。特に小学校教員の星野俊樹氏。とても勉強していることがわかるのと、まさに「魅力的なロールモデル」です。「(男らしさの)呪いから解放された」ことで「自分の人生の主導権を握れて」おり「幸せだ」とおっしゃっています! (は)