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ロザリーのひみつ指令

 

ロザリーはまだ5歳だけど秘密の使命がある。おかあさんが仕事にいけるように、校長先生にあずけられ、教室の隅でお絵描きをしているように見えるけど、ロザリー大尉は自分の使命を忘れたことなんてない。おかあさんはへとへとになるまで仕事をしている。おとうさんは戦争に行っているけど、ハガキが届き、おかあさんがいつもそれを読んでくれる。そして、おかあさんはたった1枚のハガキをいつまでも見つめている。クラスには優秀なロバートもいれば、勉強が苦手でよそ見ばかりしているエドガーもいる。でもロザリーはエドガーが好き、そして、ロザリーが任務を果たそうとしたとき、助けてくれたのはエドガーだった。戦争の中で、ロザリーを守ろうとしているおかあさん。けれども戦わなければならないロザリーの必死さが切々と伝わってくる。ラスト・シーンは、正直、最初読んだときは皮肉か?とも思ったロザリーが成果をあげる日は、同時に最悪の日とも言える。決してハッピーエンドではない。だが、確かにロザリーの成長が感じられる切ないラストだった。