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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

図書館がくれた宝物

 

第二次世界大戦下のイギリス。12歳のウィリアム.11歳のエドマンドそして9歳のアンナ。ピアーズ家の3兄弟は、祖母がなくなったために孤児となった。両親は早々に亡くなっている。厳しい祖母が亡くなったのは悲しくないが、後見人が必要な年齢なのに、身寄りがいない。弁護士が提案したのは、とりあえず学童疎開に紛れて田舎に行き、そこでやさしい家族に出会うチャンスをつかんではどうかというものだった。3人にはそれなりの財産があるが、財産目当てを避けるため、それは秘密にして探すと良いというのだ。3人まとめてあずかってくれる家族はなかなか見つからない。やっと見つけた家は。両親はいい人だったが、同年代の兄弟がウィリアムとエドマンドを敵視して嫌がらせをされ、ついに気が強いエドマンドはキレてしまい追い出される。次に行った家は、夫が戦場に行っている貧しい子だくさんの家。3人の子どもをあずかることでもらえる手当と、家事や子守の仕事を当てにされていた。だが、ここも追い出されたら行く場がない! 3人の救いは、村に来てすぐにみつけた図書館、司書のミュラーさんは、3人にぴったりの本を探してくれ、励ましてくれた。だが、村の人から嫌われている。夫がドイツ人で、戦争が始まった時にドイツの家族を心配して故郷に帰り、そのまま便りがないという。敵国の妻は、親切でも近づいてはいけないというわけだ! だけど3人には本が必要だ。3人が読んでいる本の書名を見ていると、本好きの子たちはニンマリしてしまうだろう。そして、最後に訪れるハッピーエンド。責任感が強いまじめなウィリアム、奔放なエドマンド、やさしいアンナというキャラは、いかのもだけどきちんと描けていて読んでいた楽しい。