『ワンダー』で主人公をいじめ、転校したジュリアンが、おばあちゃんから第2次世界大戦の話をきくという設定のスピン・オフ作品。ジュリアンの祖母サラは、当時フランスに住んでいた。医師の父、大学で数学を教える母のもとで幸せに暮らしていたが、ナチスが侵攻してくる。ユダヤ人だった一家の中で、父は脱出を提案するが、母はまだ大丈夫だと抵抗する。だが、通学した学校にナチがやってきてユダヤ人の子どもを連れ出そうとした。とっさに、学校の鐘楼に隠れたサラ。だが、森に隠れた子どもたちは見つかり、かばった女性教師と共に連行されてしまった。サラを助けてくれたのは、小児まひで体が不自由な上、下水掃除をしている貧しい家だとばかにされていた同級生。サラも、彼に冷たい態度をとっていたのに、ナチに包囲された学校から、下水道を伝って連れ出してくれた。男の子ジュリアンの両親も優しい人でサラを納屋に匿ってくれた。だが、両親の消息は不明で、納屋から一歩も出ることはできない。しかし、そんな中でサラはジュリアンのやさしさと豊かな想像力を知り、彼と仲良くなっていく。連合軍が優勢になってきたという報道に希望を持つが、同級生ヴィンセントは父親とともにナチを支持して民兵団に入り、体が不自由だという理由でジュリアンをナチに引き渡すのだ・・・。敵対する人。ジュリアンの隣人はナチの手先だと思っていたところ、実はユダヤ人を匿っていたことがわかるなど、絶望的な状況の中でも助けようした人たちがいることに希望を感じる。しかし、フランス人でありながらナチに加勢した民兵団は戦後どうなったんだろうか? 『ワンダー』の敵役ジュリアンは、実は怖がりで視覚的に受付けられずに遠ざけようといきがってイジメに走ったことが明かされ、この作品では、悔いて、前に進もうとしている。全ての過ちを犯した人がこうあっていてくれると良いと思わずにはいられない。