児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

この銃弾を忘れない

 

内戦下のスペイン。炭鉱労働者だった父が、ファシストに対抗して共和国側の戦いに身を投じて行方不明になり2年がたっていた。13歳のミゲルは進学したかったが、暮らしをささえるために牛追いの仕事をしている。そこに、父さんが捕虜収容所に入っているという情報がもたらされる。知らせを聞いた母親は、ミゲルに父に食べ物を届け、連れ帰ってくれと言ってきた。無理だ! 内戦が続く中、200キロの道を越えていくのは無理。一度は無理だと断るが、絶望する母、嫌がらせに来る反乱軍をみて、父親を探す旅に出る。優秀な犬グレタが相棒だ。反乱軍に見つからないように、街中を避けるが、狼の襲撃にもあうが、なんとか目当ての街まできた。グレタの鼻のおかげで、捕虜収容所の父と再会。母親から持たされた食料を差し入れることができた。その日から、苦労しながら差し入れを続けるが、助け出すすべはない。突然の移送命令が出た時に、懸命に後を追った末に、海辺で処刑される一行をみる。反乱軍は、しばったまま海の中に立たせ、致命傷を追わせずに苦しませて死なせようとしたが、ミゲルは息が残っていた父を海から引き上げて助けた。共和国の仲間の助けをかり、治療して家への帰還を目指す。父を隠して家に戻り、母に帰還を告げた時、母が少女のように喜び、美しいワンピースをまとって父のもとに向かう姿は、日本の児童文学では見られないものかも。だが、父の逃亡をかぎつけた反乱軍の手が・・・。最後まで気が抜けないサスペンスドラマのような物語。実際にあった物語をもとに、向学心の強いミゲルの造形をしたとのことだが、このように父を探しても出会えなかったり、失った子どもたち、夫を亡くした妻たちはどんなに多かったかと思う。平和が守られて欲しいが・・・