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河童のユウタの冒険上

 

 湖に住むカッパのユウタは湖の生き物や鳥と仲良くしながら幸せに暮らしている。だが、春になって去っていく冬鳥たちはみなユウタが旅に出るといい、突然現れた九尾のキツネの娘だという尾が3又のキツネに旅に出るように頼まれる。納得できないながらもその時面倒を見ていた白鳥のカナタにも諭され、時間をさかのぼるような体験の中で、三又のキツネの娘で二又キツネのアカネと出会う。そこで水源を遡る旅をしなければならないことを知らされ、直後に最後の旅の仲間天狗のハヤテと出会う。なぜ、旅をしなければならないかもわからないまま、3人は力を合わせて旅に出ることになる。全体的に、イメージや表現はきれいだが、物語がぎこちない感じがする。大切な娘を任せるのをさんざん不安がる言葉を重ねながら、それ以外の選択肢は全く考えていない母狐のようすや、ユウタを旅立たせるためだけに一挙に2つも魔法を使うとか、途中助けてくれたイノシシ夫妻が鉄砲で撃たれたと聞いた後、戻っても無駄だと説得された後、あんまり悲嘆にくれた様子がないこととか、宴会大好きなハヤテのキャラだが、それにしてもこんなに先々で宴会が必要なのか? など、書き手が楽しんでいてちょっと読者を置き去りしている感じがする。ちなみにネズミのガンバ主催の宴会があるのはご愛嬌。正直、上巻を読んだ感じではワクワクしませんでした。