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セバスチャンの大失敗

 

 かなり前に読んだ記憶があるが、細かい部分は忘れていたので再読してみた。再読して思ったのは、けっこう覚えていたことだった。アリグザンダーらしいユーモアあるドタバタ作品で、ちょっと夢見がちで頼りないがまじめな主人公の男の子と芯がある女の子の間との恋。周りをとりまく個性豊かな面々というパターンはタランシリーズと同じ。訳者も書いている通り、原書タイトル直訳は「セバスチャンのすばらしい災難」だが、そちらのタイトルの方がよかったと思う。物語は、バイオリン弾きのセバスチャンが、王国の使者を怒らせてしまったために首になるところからはじまる。街道をいくうちに偶然いじめられているネコを助けるが、このネコのプレストーは以降なにかというとセバスチャンを助けてくれる! 折から王国では国王夫妻の突然の死の後に、王女と摂政殿下の結婚が進められているが、摂政の圧政のために国民は疲弊しきっている。そして、ひょんなことから結婚から逃れるために宮殿から逃げだして来た王女を助けるはめになったセバスチャンは、いろいろな人に助けられながら敵の手を逃れる。映画にしたら面白そうなドキドキハラハラの娯楽作品です。この手の話は、アリグサンダーのパターン化作品っぽいけれど、楽しく読めることは間違いない。