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かくれ家のアンネ・フランク

 

かくれ家のアンネ・フランク (岩波少年文庫)

かくれ家のアンネ・フランク (岩波少年文庫)

 

 アンネの日記は、日記という形式もあって取り付きにくい(実際に読み始めてみると、さすがの迫力だが)、アンネに関心を持ったけれども『アンネの日記』は挫折した、もしくは挫折しそうという子の背中を押す本、といえるだろう。模範生というよりも我の強い少女アンネ。幸せで裕福な子ども時代を過ごした後に、ユダヤ人迫害の中で強制収容所での死へと追い詰められていく。作品は、知られざる日記前の子ども時代と収容所でのことに焦点を当て、そうした意味でも『アンネの日記』を補完するものとなっている。徐々にいろいろな事が禁止され追い詰められていく息苦しさ、一度はドイツから脱出したのにオランダ占領により危機にあうようす。閉じ込められる中でエゴがむき出しになる息苦しさ、彼女たちを支えたオランダの人たちのすごさを改めて思う。ぜひ『アンネの日記』と共に読んで欲しい。