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月へいった女の子 アイヌむかしばなし

月へいった女の子 アイヌむかしばなし

鈴木トミヱ 絵・文 北海道出版企画センター 1986年

 

ずっと昔、働き者の姉となまけ者の妹がいました。ある日姉は、妹に水くみをたのみました。月がのぼる頃になってようやく妹は出かけましたが、2日たち、3日たっても戻りません。姉は妹を探して川をくだります。道々、アメマス、ウグイ、マスの群れに妹の行方を尋ね、最後に会ったサケが「人間たちは私たちを神様として大切にしてくれるから」と教えてくれたのは、月の中でせっせと水をくむ妹。「お月さまは働かなくてうらやましい」と言った妹に怒って、月がさらって行ったのでした。

アイヌの人々は、月の影を、水をくむ子どもの姿と見ます。月の光を受けてこがね色に輝く石狩川にそって、銀の星たちが集まってできたという天の川のいわれも。
以前紹介した『イソイタク 2 カムイを射止めた男の子』には、なまけ者の息子バージョンがありました。 (は)