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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ちょうちんあんこう

 

ちょうちんあんこうは深い海のそこに住んでいました。ある日たこのおじさんから、黄色くて丸いお月さまのことを初めて聞きます。かくれんぼが大好きで、海の上であそんでいるというのです。お月さまと友だちになりたいな。ちょうちんあんこうは、魚たちにお月さまの居場所を尋ねながらずんずん上っていきました。そしてようやく、夜空に高くうかぶ黄色くて丸いお月さまを見つけます。でも、どうしてもお月さまのところまで行けません。そこへ通りかかったとびうお。ちょうちんあんこうを背中にのせて、海の外へ飛び出してくれました。「おつきさま。かくれんぼしようよ」大喜びではねたとたんに、とびうおと離れて海の中へ。それでも、ちょうちんあんこうはみんなに向かって大得意。「おつきさま みたことないだろ」。今でもちょうちんあんこうは、まだお月さまを知らない魚に話して聞かせたくて、くらい海のそこを泳いでいます。

デフォルメされてなんともユーモラスなちょうちんあんこうと、少し寂しくも感じるラストが、子ども心に印象深い絵本でした。  (は)