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青いイルカの島

 

1835年から1853年にかけてアメリ東海岸の近くの一人で島で暮らした少女の物語。島の周りに豊富にいるラッコを獲るためやってきたアリュート人とのトラブルで島の男たちが多く殺された後、他の島に移住することになった時に、乗り遅れた弟のために12歳カラーナは船から飛び降り、島に戻った。だが弟はまもなく野犬に襲われて命を落とし、一人暮らしが始まる。必要から狩をするため武器を作る時に、女が武器を作ることへのタブーを畏れるが、それでもしなければならないことにチャレンジする。かつての暮らしの記憶を思い出しながら、さまざまなモノづくりにチャレンジし、弟の敵だったはずの野犬のリーダーのロン・ツーを飼うことになり、島の生き物たちと心通わせながら生き抜いていくカラーナは、最後、他の人間を求めて島に来た人間の前に出ていく。カラーナが持っている人間としての強さとしなやかさがとても魅力的。