児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

わたしの名前はオクトーバー

 

オクトーバーは父さんと二人で森で暮らしている。母親という人は、森の暮らしが耐え切れなくなって、オクトーバーが4際の時に街に戻ってしまった。以降オクトーバーは、絶対会おうとしていない。父さんとの森での暮らしは最高で、森の事ならなんでも知ってる。だが、10際の誕生日母親が会いに来た。逃げ出して木に上ったオクトーバーを追って木に登った父が転落。重傷を負って入院する。どうしようもなく街の母の家に連れていかれる。森で拾い育てていたフクロウの雛もいっしょに。父は意識不明で、オクトーバーは心配と罪悪感でいっぱいだ。街は嫌な臭いがして込み合っている。雛は保護施設に渡さざるを得なくなり、無理に入れられた学校では一日中席に座り一言も話さない。だが、5日目ユフスという男の子と組まされて図書室に行ったときから変化がおとずれる。一緒に図書室でオオカミの遠吠えをしてくれた明るくて元気な男の子。二人で取り組む自由研究の中で、テムズ川の川岸の宝探しが始まる、かつて泥ヒバリといわれ、そこでゴミ拾いをしながら暮らしをたてていた子どもたちの存在を知る。ここで見つけたもので物語を作り、父さんに聴かせて赦してもらおうと思い立つオクトーバー。無理に都会に伝手て来られた野生動物のようなオクトーバーが、すこしずつ自分のまわりの人間を理解し、人間関係にめざめていくところが魅力的。2022年カーネギー賞受賞作。