フォトジャーナリストの著者が、40か国以上を取材した経験を短くつづった7編。
貧しさや災害、民族紛争、環境破壊など、困難や不便さの中で生き、暮らす人々との「宝物」のような出会い。岩手・陸前高田の津波で妻を亡くした、著者自身の父親が流した涙への思いを書いたものも。
「学校がもっとすきになるシリーズ」の高学年以上向けで、道徳の副読本といった内容。朝読書にも向くのでしょう。 (は)
江戸時代、寺子屋で学ぶ子どものようすをいきいきと物語る絵本。
9才の八助は、お寺の一室を使った寺子屋に通うところ。浪人のお侍のお師匠さまから、いろはや漢字をおそわって、筆と墨で練習します。年長の子たちは、そろばんをはじいて計算を習っています。
八ツ時(午後2時頃)になると男の子たちは帰り、女の子は残って今度は師匠の奥さまからお裁縫のけいこ。
八助は家に帰ると、習った文字で文を書き、絵をそえて、手づくりの絵草子に仕立てました。お父っつあん、おっ母さんはすっかり感心して、寺子屋は本当にありがたいねえと、思うのでした。
奥付に、「学校がもっとすきになるシリーズ」とあって、びっくり。既刊には、くすのきしげのり作「いまからともだち」「わたし、わすれものがおおいです。」などがあり、道徳化の4領域に合わせたと出版社のHPに。本書をシリーズの1冊とする意図がハテナ?です。 (は)
転校生で友だちのいないアーマ。ある日、クラスメイトのジュディに声をかけられたうれしさで、「世界一大きな人形を持ってる」と、うそを言ってしまいます。
またたく間にうわさは広まり、収穫祭のクラス発表の目玉として、その人形を展示することに。ごまかしがきかなくなったアーマは、パパのデパートへ行って、ショーウインドーのディスプレー交換中で置きっぱなしだったマネキンを盗んできてしまいます。
そして迎えた学校イベント当日。アーマは、お客さんの中に、デパートにいたディスプレー係の青年を見つけてどきっとします。もちろん青年は、「世界一大きな人形」がデパートのものと気づき、持ち去ろうとします。「どろぼう!」とみんなが叫ぶのを聞いて、アーマのとった行動とは・・・。
うそにうそがふくらんで胸がいっぱいになる苦しさ。本当のことを話したくてもそばにいないママと、仕事で忙しいパパ。はらはらしながら読み進んだ末の大団円に、ほっとします。原書は1972年。 (は)
自分が犯した罪滅ぼしのために、幸いをもたらすしかばねを連れてくるようにいわれたトンドゥプ。だが、帰るまで一言も口を聞いてはいけない。しかし、しかばねの話があまりにおもしろいために、つい言葉がでてしまい、何度もやり直すことになる。理不尽な王の挑戦を知恵で出し抜く「テンセル」、人からどろぼうして金持ちになった男を貧乏な若者が逆襲する「金持ちのどろぼう」のように知恵で勝利するはなしや、カエル息子がお姫さまを嫁にすると言い、みごと末のやさしいお姫さまを手に入れる「カエルとおひめさま」、その他類話もあるが個性を感じる昔話集。読んであげれば、4.5歳でも楽しめると思う。
三匹の犬小屋の真ん中にいたのは見えない犬。兄さん犬は、見えない「なんにもないない」を大切にしてくれましたが、ある時、子どもたちがやってきて二匹の兄さんたちを自分たちの犬としてかわいがるために、連れて行ってしまいます。見えない「なんにもないない」には、気が付かないで! 自分もかわいがって欲しいと思ってついていきますが、途中で眠ってしまって兄さんたちの行先がわからなくなってしまいます。見えるようになって、かわいがってもらいたい。そんな時に森のもにしりがらすが「てんてこまいまい ぐるぐるまい」と呪文をとなえると9日で見えるようになると教えてくれます。毎日少しづつみえるようになり、ついに見えるようになったとき、子どもたちや兄さん犬と再会してハッピーエンドとなります。言葉の響きが楽しい素朴な雰囲気の絵本。むしろ4.5歳位の子どもの方が、見えない「なんにもないない」の姿を見てくれるのかも、と思った。