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トムのほんとうのうち

 

トムのほんとうのうち

トムのほんとうのうち

 

 トムは養子で、「とくべつな子」だから大切なのだと小さい時から両親から知らされている。友達のサムに自慢すると、サムから「本当の子のほうがいいに決まってる」と言い返され、小さなわだかまりとなった。サムが犬を飼ったとき、自分もほしいとねだるが、共働きだしネコもいるから無理だといわれ不満だ。本当のお母さんはルイーズという名前だと知り、新任の若くてきれいな先生がルイーズだときいて、ひそかにお母さんではないかとあこがれる。そんな時、おかあさんに赤ちゃんができる。本当の子どものほうがいいんだと悲しくなる。おとうさんと一緒に作った木の上の家にこもるトム。だが、あかちゃんの妹の上に猫が乗ろうとしたのをおっぱらい、そこに遠くからお父さんがひっしでもどってくれたのをみて、両親が自分を大切にしていることを、自分自身も知っていたのにすねていたと気づく。難しいテーマを子どもの視点でよくまとめている。