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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

私、日本に住んでいます (岩波ジュニア新書)

 

スリランカ出身の日本在住ジャーナリストがまとめた、日本に住むいろいろな人へのインタビュー。「過去と未来をつなぐ」は、タイから東北大学に来た留学生の被災地でのボランティア。/「夢をもつということ」は渋谷で女性DJをするアフリカ系アメリカ人 /「カンボジアのおばあちゃんへの手紙」カンボジアから日本に来た小学生が毎日のようすを知らせる手紙 /「落語の世界へ」はイギリス人女性が落語に魅せられて英語の落語のチャレンジをする。/「多様な文化を尊重する教育」は江戸川区西葛西のインターナショナル・スクールの教育について/「オモロかったらええやん」はオーストラリアから日本に来てお笑いの世界に夢中になり、吉本に飛び込んだ体験記/「親子写真から見えてくるもの」はアメリカ出身の写真家だが親子写真というテーマにこだわる/「自分を信じて自分らしく」はインド人とのハーフだが2016年のミスワールド日本代表に選ばれる/「ゴスペル音楽に込められた思い」はジンバブエに生まれ、アメリカに移住、さらに日本に来てゴスペルシンガーとなった体験/「難民として日本で暮らして」はミャンマーから日本に来て難民認定を受けて育った男の子の体験/「自然と調和した暮らし方とは」はアメリカから来て日本の古民家再生に取り組んだ建築家/「翻訳する」ということ は有名なドナルド・キーン氏。全部で12人ものインタビューを扱っているため、一つ一つが短い。そのことにより読みやすいが、ちょっと物足りない気もする。また、比較的“成功者”で、日本を評価している外国人が取り上げられているが、例えば技能実習生などからみた日本はどうなのだろう? とも思った。それでも、多様な人と共に暮らす日常を考える一助になると良いと思う。