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写真物語 あの日、広島と長崎で

 

写真物語 あの日、広島と長崎で
 

原爆投下から25年の被爆者の姿を収めた写真集『長崎の証言』が再出版されるというニュースがあり、本書を手に取りました。
1945年8月9日の翌日、長崎の爆心地近くへ入った写真家山端庸介の記録を中心に、広島と長崎への原爆投下直後から数か月後の被爆者や街の様子が、モノクロ写真や絵でまざまざと示されます。
表紙の4歳の子の問いかけるような鋭い眼差し。中の写真では隣に立つ母親の方が呆然としているように見えます。

熱線により一瞬にして焼死した子どもの顔は濃いピンク色にはれ上がっていた。真っ黒に焼けこげた人々の手は空をつかむように固まっていた。親を見失い傷を負った弟を背負う少年。傷の手当てを待って横たわる幼い子どもたち。
焼き尽くされた市街地の様子も衝撃ですが、こうした被爆者の姿から目を背けてはならないのだと改めて強く思います。このような悲惨な写真をいつから子どもに見せるか迷うかもしれません。6年生になると戦争について学びます。大人も一緒に見て話すことが大事だと思います。  (は)