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戦火の三匹 ロンドン大脱出

 

 戦争がはじまり、おばあちゃんの住む村に疎開することになったロバートとルーシー。気がかりなのは犬のバスターとローズ、そして猫のタイガーだ。父は戦場へ、母も看護婦として病院船にのるため、3匹は知り合いにあずけられるが、その家の主人は動物嫌いで、さっそく安楽死会場に3匹を連れて行こうとする。だが、賢いローズは危険を察知し3匹はにげだした。もともと祖父母の元で牧羊犬として飼われていたのに、祖父が亡くなったためロンドンに来たローズは、本能に惹かれるように村に向かう。ロバートとルーシーから3匹の様子を知らせて欲しいと頼まれていた友人のマイケルは、預け先を訪ねても3匹が見えないことに不安を感じながら、戦時下で捨てられた動物を保護するナルバック(全国空襲警戒動物委員会)という組織で働く父に協力しようとするが、捨てられる動物はあまりに多かった! さまざまな苦労を乗り越え、少しづつ村に近づく3匹と、村でおばあちゃんが認知症の症状を示すのに直面し、いじわるな新しい先生やクラスメートの中で悩むロバートとルーシー。戦時下の特殊状況を乗り越える子どもたちと動物たちの活躍が楽しい。とりわけ、動物たちが、いかにもその動物らしくふるまう様子がよい。