児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

バターシー城の悪者たち

 

バターシー城の悪者たち

バターシー城の悪者たち

 

前作で画家の道を目指したいと決心したサイモンが、今作の主人公。ところがロンドンについたところ、頼りにしていた画家のフィールド先生は行方不明になっていた。先生の下宿だったはずの場所に住み着き、画学校に通い、なぞ解きをはじめる。下宿のはみだしっこダイドーは、汚れてずるがしこいが、誰からもかまってもらえない境遇にサイモンは同情を寄せる。偶然出会った幼馴染のソフィーは、バターシー侯爵家に仕えて、幸せになっていた。サイモンも侯爵に気にいられるが、侯爵の身の回りで、次々に怪しい事件が起こる。孤児サイモンとソフィーの出生の秘密と、王室転覆事件が錯綜する。気球での脱出や、なぜかいつでも危機を救うタペストリーなどクスリと笑わせるユーモアもたっぷりで楽しませてくれる。そして、以降ダイドーはパワーを増していきます。 

ウィロビー・チェースのオオカミ

 

ウィロビー・チェースのオオカミ

ウィロビー・チェースのオオカミ

 

 大金持ちのウィロビー卿の一人娘ボニーと、そこにひきとられてきたいとこのシルビア。勝ち気だけどまっすぐな気性のボニーと、おとなしいけれど思いやりがあるシルビアは、すぐに仲良くなった、だが、ボニーの母の転地療養のために両親は旅行に出発。後を託された遠縁の親戚だという怪しい家庭教師は、両親がいなくなったとたん態度を一変させる。両親が乗った船の沈没の報が届き、二人は孤児院へと追い出され、莫大な財産はのっとられてしまう! 近くに住む自立した少年羊飼いのサイモンの助けを借りて、二人はシルビアの大叔母さんの助けを借りるべくロンドンに向かう。オオカミが群れなす架空のイギリス史を背景に、小公女とジェーン・エアを活劇にしたようなおもしろさ。読書力のある小学校高学年の女の子には、特に好評。

きみが世界を変えるなら 言葉を武器に変えて

 

言葉を武器に変えて (きみが世界を変えるなら)
 

「言葉を武器に変えて」「世界を改革した子ども」「「わたしの物語」を生きる」の3冊が同時発売だが、これが一番貸し出されていたので読んでみた。困ったときに、きちんと言葉にして伝えようという内容を、「○○さんの場合」など、それがうまくいかなかった人の事例で説明していく。特に奇をてらっていないので、わかりやすいかと思うが、実際にどうするかの方法を、もう一歩書いてもらってもよかった気がする。理解はできるが、実践はできるだろうか? 読んだ中学生にきいてみたい。 

イースター島

 

 イースターにちなんで(?)この本を。イースター島の写真絵本。有名なモアイ像だけではなく、島の自然や祭りの様子なども映しだす。島民たちが美男美女ぞろいでびっくりです。イースター島の自然破壊が、ナンヨウネズミであったという新説の紹介もあり、島民を尊敬する気持ちがつたわってくる。

よんでみよう

 

よんでみよう

よんでみよう

 

「読んで」「呼んで」どっち? とわかりにくいタイトル。中身も後姿で、呼んで振り向くパターン。ただ、動物に名前がついているが、そのまま「うさぎさんだ」のほうがよかったと思う。 

あれあれ? そっくり

 

あれあれ?そっくり!

あれあれ?そっくり!

 

 虫の擬態をテーマとした本。「かれはかな」など、よみきかせ風。最後に、各虫のきちんとした解説が書いてあるので、詳しく知りたくなったり、大人がサポートするのに使いやすい。

妖怪スタジアム

 

妖怪スタジアム (21世紀空想科学小説 5)

妖怪スタジアム (21世紀空想科学小説 5)

 

 小学校5年の男の子蓮は、ふと気が付くと、まわりは同じなのに、人間はいなくて妖怪だらけの世界にきていた。同級生で、仲良しのリューセイ、近所に住んでいる中学1年生で亜香里も一緒だ。原因は、亜香里の父が、妻を亡くしてから、なんとかもう位置で妻に会える世界を探すために次元転移装置をつくったのだが、その装置は強い望みの思念をひろう。たまたま、リューセイが妖怪に夢中だったため、妖怪の世界に来てしまったのだ。リューセイの妖怪の知識を生かしながら、3人は、装置がある亜香里の家に向かうが、そこは、最強の妖怪を決める妖怪スタジアムたおなっており、3人も戦うことになるが、偶然が幸いして勝利する、という気楽な展開。タイトルに惹かれて借りる子はいそう。