児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

中学生以上

アップステージ (2023課題図書中学生の部)

アップステージ: シャイなわたしが舞台に立つまで 作者:ダイアナ・ハーモン・アシャー 評論社 Amazon シーラは、おとなしくて恥ずかしがり屋の女の子。親友のキャシーと、学校のミュージカルの参加を夢見ているけれど、同時に舞台に立つのは怖くてたまらない…

10代の憲法な毎日

10代の憲法な毎日 (岩波ジュニア新書) 作者:伊藤 真 岩波書店 Amazon 高校生が、学校や家庭、社会生活の中での悩みや問題、疑問を、弁護士の伊藤真さんに相談しながら、憲法や子どもの権利条約、民法などに定められる、権利や自由の考え方を学んでいく。会話…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon 1と同じく、著者の息子の感受性から発せられる言葉に、おとなが考え、学ぶことの多い1冊。 日本の台風災害を伝えるニュースで「東京の避難所からホームレスの人が追い…

グッゲンハイムの謎

グッゲンハイムの謎 作者:ロビン・スティーヴンス 東京創元社 Amazon テッドが、その先入観のない視点で謎を解くシリーズ2作目。ニューヨークに行ったサリムを訪ねたテッドと姉のカットとママの3人。ところが到着早々に、グッゲンハイム美術館で働くグロリ…

ロンドン・アイの謎

ロンドン・アイの謎 作者:シヴォーン・ダウド 東京創元社 Amazon 12歳のテッドは、他の子とはちょっと違うと言われている。自分では、どうちがうのかうまくわからない。たとえば嘘がつけないし、他の人の気持ちを理解するのも難しい。だから友だちもいない…

ダリウスは今日も生きづらい

ダリウスは今日も生きづらい 作者:アディーブ・コラーム 集英社 Amazon 高校2年のダリウスは、共感しずらい主人公だろう。確かにイラン出身の母とゲルマン系アメリカ人の父という出自のせいで差別的な扱いを受けることもあるが、つねにネガティブな感情から…

ハンナの夢さがし

ハンナの夢さがし 作者: ベッティーナ・オプレヒト,若松宣子 出版社/メーカー: 偕成社 発売日: 2015/10/16 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ハンナは10歳、14歳のヴァレリーお姉ちゃんは、ハンナと違って美人でほっそりしている。アイドルに…

目で見ることばで話をさせて

目で見ることばで話をさせて 作者:アン・クレア・レゾット 岩波書店 Amazon 11歳のメアリーは想像力が豊かな女の子だ。1805年アメリカのマーサ・ヴィンヤード島に住んでいたメアリーにとって、手話は当たり前のものだった。島ではろう者が多く、自分も父も耳…

ソロ沼ものがたり

ソロ沼のものがたり 作者:舘野 鴻 岩波書店 Amazon 文章だけでなく挿絵も著者。絵がとても魅力的。自然科学系の絵本を多く手がけている著者なので、内容は食物連鎖をモチーフにしたものが多い。その基礎知識がある子の方が読みやすく、ある意味、非情でもあ…

ウソつきとスパイ

ウソつきとスパイ (Sunnyside Books) 作者:レベッカ ステッド 小峰書店 Amazon 父さんが失業したせいで引っ越すことになったジョージ。運動は苦手だし、イケてないから、みんなにばかにされている。引っ越し先のマンションの地下ゴミ捨て場で、「今日は、ス…

16歳の語り部

16歳の語り部 作者:雁部 那由多,津田 穂乃果,相澤 朱音 ポプラ社 Amazon 2011年3月11日。宮城県東松島市の海岸から2.3km、大曲小学校の5年生だった3人は、中学校を卒業した春、震災を伝える語り部の活動を始めた。 目の前で津波にのまれる男性の姿。避難所…

王さまのお菓子

王さまのお菓子 作者:石井 睦美 世界文化社 Amazon ブランさんのケーキ屋で、パイの中に入れられた陶人形ミリー。このパイを注文したアデルさんの家には、病気の母親の元を離れて暮らす女の子ベルがいる。ミリーは、自分がベルに当たるといいと祈るが、ミリ…

月のケーキ

月のケーキ 作者:ジョーン・エイキン 東京創元社 Amazon エイキンの晩年に編まれた珠玉の短編集。 「いくつかに、死の気配が漂っている」と訳者あとがきにあるうち、私が気に入ったのは「羽根のしおり」。母の死に立ち会えなかった少年が、お墓を7周まわる…

小泉文夫

音楽家の伝記 はじめに読む1冊 小泉文夫 (音楽家の伝記はじめに読む1冊) 作者:ひの まどか ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス Amazon 小泉文夫は、とにかく好奇心と行動力の人。聴きたい音楽や歌、見たい楽器や踊りがあれば、どんな僻地や…

フランバーズ屋敷の人びと5 愛ふたたび(下)

フランバーズ屋敷の人びと 5 愛ふたたび(下) (岩波少年文庫) 作者:K.M.ペイトン 岩波書店 Amazon ディックとのすれ違いが続く中、クリスチナは車の運転を習い、レースにチャレンジする。かつてウィルと楽しんだ日々がよみがえる経験だが、ディックは車もレー…

フランバーズ屋敷の人びと4 愛ふたたび(上)

フランバーズ屋敷の人びと 4 愛ふたたび(上) (岩波少年文庫) 作者:K.M.ペイトン 岩波書店 Amazon ディックとの幸せな新しい暮らしが始まるはずだったのに、二人は微妙にすれ違う。フランバーズ屋敷の使用人も、近隣の屋敷の人々も、ディックを主人として受け…

フランバーズ屋敷の人びと3 めぐりくる夏

フランバーズ屋敷の人びと 3 めぐりくる夏 (岩波少年文庫) 作者:K.M.ペイトン 岩波書店 Amazon 冒頭でいきなりのウィルの戦死、さらにマークも戦地で行方不明。21歳となって財産を相続したクリスチナは、フランバーズ屋敷に帰ってくる。荒れ果てた屋敷にいる…

フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて

フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて (岩波少年文庫) 作者:K.M.ペイトン 岩波書店 Amazon 駆け落ちしたとはいえ、生計の道がたたなければ結婚などできない。クリスチナはおばの家に身を寄せ、ウィリアムは飛行場での仕事を探すが、足が悪い彼を雇ってくれる…

フランバーズ屋敷の人びと1 愛のたびだち

フランバーズ屋敷の人びと〈1〉愛の旅だち (岩波少年文庫) 作者:K.M. ペイトン 岩波書店 Amazon ヴァレンタインにはラヴロマンスを! 再読してみて、やはり一気に読み進んでしまうおもしろさだな、思った。5歳で両親を亡くし、親せきをたらいまわしにされて…

中高生のための文章読本

中高生のための文章読本 ――読む力をつけるノンフィクション選 筑摩書房 Amazon 「読む力をつけるノンフィクション編」としてノンフィクションアンソロジーのイメージ? と思って読んでみた。上橋菜穂子さんやブレディみかこさんなど中高生でもなじみのある著…

私のスポットライト

私のスポットライト(児童書) (teens' best selections) 作者:林 真理子 ポプラ社 Amazon 彩希は特に目立たない中学生。ところが、クラスの女子の派閥対立のせいで、思いがけず、文化祭の劇の主役がまわってきた。学生時代に演劇をやっていたお父さんに教えて…

13歳からのキリスト教

13歳からのキリスト教 作者:佐藤優 青春出版社 Amazon 「人生の悩み、キリスト教ならこう解決する」「はじめてでもわかる「キリスト教超入門」「イエス・キリストの生涯と伝えたかったこと」「つらいときでも希望が持てる「聖書の名言」」「試練の人生を支…

なりたい自分との出会い方 世界に飛び出したボクが伝えたいこと

なりたい自分との出会い方: 世界に飛び出したボクが伝えたいこと (岩波ジュニアスタートブックス) 作者:岡本 啓史 岩波書店 Amazon 国際教育支援のために働く著者が、勉強も運動もイマイチだった自分の中学生時代からの歩みを語っている本。とはいっても、こ…

ロッカバイ・ベイビー誘拐事件

ロッカバイ・ベイビー誘拐事件 (児童図書館・文学の部屋) 作者:アントニア・バーバ 評論社 Amazon イギリスからニューヨークに旅行に来たリチャードたち兄弟は、偶然のことから叔父の務める銀行頭取の息子、7歳のロッカバイ72世の誘拐事件を目撃してしまっ…

時をかける眼鏡 医学生と、王の死の謎

時をかける眼鏡 医学生と、王の死の謎 (集英社オレンジ文庫) 作者:椹野道流 集英社 Amazon 気楽に読めるラノベ。タイムトラベル物というので読んでみたが、異世界転生ものといっても良さそう。著者は元監察医とのことで、主人公遊馬(あすま)は監察医の卵。…

パン焼き魔法のモーナ、街を救う

パン焼き魔法のモーナ、街を救う (ハヤカワ文庫FT) 作者:T キングフィッシャー 早川書房 Amazon ハヤカワ文庫だが、原書はローカス賞ヤングアダルト部門等、ヤングアダルト関係の賞を総なめしたというヤングアダルト向き作品。主人公は14歳のパン屋で働く…

闇の覚醒 死のエデュケーションLesson2

死のエデュケーション2 闇の覚醒 作者:ナオミ・ノヴィク,井上里 静山社 Amazon シリーズ2作目、前作より分厚くなって発行。いよいよ4年生の卒業を前にして、思いがけず自分のチームも手に入れたガラドリエル。だが、準備を進める中で、徐々に自分の力の高…

ぼくたちは卵のなかにいた

ぼくたちは卵のなかにいた (創作児童読物) 小学館 Amazon 卵の中の世界で暮らすリュウ。幼馴染のミサキやナオトと穏やかに暮らしていた。だが、13歳になったら、この世界から外に行くか中に留まるかを決めなければならない。リュウは外に行くことを決意す…

声をきかせて

声をきかせて 作者:樫崎 茜 講談社 Amazon 地方の門前町でお香屋の家に生まれた砂凪(さなぎ)は中学2年生。両親はお店には関心を示さずかかわっていないが、砂凪は、なんとなくおばあちゃんについてお香のことを習っている。だけど、残念ながら匂い音痴で…

分解系女子マリー

分解系女子マリー 作者:クリス・エディソン 小学館 Amazon 12歳のマリーは、分解して仕組みを調べてはいろいろ作るのが大好きな工学系女子。世界的な有名企業バンス社が優秀な科学のアイディアを持った子どもたちを招待する合宿に招かれ大興奮。バンス社の快…